ナチュラルレザー or マイクロファイバー?
<グローブの素材、気にしてますか?>
かつてはグローブやトレーニングギアといえばレザーが定番でしたが、最近では人工皮革やマイクロファイバーなどの新素材がどんどん出てきています。フェアテックスも最新素材のマイクロファイバーを使用したグローブが定番になりつつあります。
ただレザーと比べてマイクロファイバーって実際どうなんでしょうか?というご質問もよくいただきます。そこで様々な角度から特徴、違いを見てゆきたいと思います。
まず、そもそも新素材のグローブが生まれた背景ですが、従来のレザーグローブは手作りで丁寧な職人技によるものですが、時代とともに職人の数がどんどん減ってきている、という点が挙げられます。またやはり人間の手によるものですので、どうしても左右の重さの違いが出てしまうことがあります。最新の注意を払っていてもなめし皮の厚さを常に完全に100%均一にすることは容易ではありません。また生産国(フェアテックスはタイ)の気候と日本との気候の違い(主に湿度)や輸送環境などによって商品のお引き渡しの時点で製品にばらつきがでてしまうこともありえます。とはいえ、グローブのウェイトカテゴリーは2オンス単位で、しっかりウェイトコントロールされているので、仮に左右差が出たとしても、1oz=28.35g x 2オンス= 56.7g以上の差が出ることはもちろん100%あり得ません。通常は左右差があったとしてもほんの数グラムの誤差の範囲で、体感的にはほぼ左右差などまったくありません。ただ日本人の中には「2グラム右のグローブのほうがが軽い!」なんてクレームしてくる方もたまにいます。まあ「2グラム程度の違いを気にするよりむしろ自分のパンチのスピードや精度を高めるほうが遥かに大事」というのが一般的なタイ人の考え方のようです。。。
一方、マイクロファイバー素材でできたグローブはウェイトコンロールが革製品より遥かに容易です。ナチュラルレザーと変わらない滑らかさやしっとり感を維持しつつ、均質化された商品を大量生産できるので、これからはこういった人工素材のグローブがだんだん世の中の主流になっていくと思われます。
さらにマイクロファイバー素材のグローブはグローブ特有のあの嫌な匂いがつきにくく、汚れもさっと拭けるので、メンテナンスがレザーに比べて遥かに楽であるという点も見逃せません。防水性・耐久性も抜群で、かなり使い込んでも従来のレザーグローブのように汗でクタクタになってしまうことはありません。
とはいえ、やはり昔ながらのレザーグローブには、なんともいえない「味」があることも確かです。最初の使いはじめは少し硬いのですが、使っていくうちに手に馴染んできて、だんだん自分の手のようになっていく。まさに時間と共に自分の分身に「育てる」感がレザーグローブにはあります。世の中がどんどん便利さや快適さを求めてゆく時代において、時と共にヴィンテージを作りあげてゆく愉しさがレザーグローブの一番の魅力でしょう。そしてアテ感。ミットを打っていて、芯を捉えた瞬間、ずしっとナックルに響く感じは、マイクロファイバーでは味わえません。
ちなみにフェアテックスブランドでは、レザーグローブの定番はBGV1ではじまる型番のものです。マイクロファイバー製はBGV11, BGV14あたり、またはそれ以降になります。数字の番号が大きくなるに従ってリリースされた時代が新しいものとなります。そういう意味で、BGV1はフェアテックスの伝統を受け継いでいる定番中の定番のグローブであり、今でも世界で最もよく売れているグローブです。
人間と同じでグローブにもそれぞれ長所・短所があります。毎日・毎週使う、ある意味自分のパートナーですから、やはりこだわって本当に気に入ったものを使っていただければと思います。